主な治療方法
顎関節症の治療を分かりやすくするために何処を治療するかで3つに分けることができます。
『歯を治療する』、『顎関節の周辺を治療する』、『それ以外』の部分から顎関節症を治療する3つに分けることができます。
また、『保存療法』(負担を和らげるだけにしておくのが目的)、『関節の操作』(顎関節などの整復・整体が目的)、『手術』といった、3つの治療法にも分かれます。
手術の定義は体に器具などを使い切ったり摘出したりする行為という定義を使い分類いたしました。そのため、歯を削るという行為も手術に分けることとします。
下記は、どこを治療するかに分け、箇条書きでどんな治療法かを記載しておきます。詳しくはクリックしてください。
歯の治療
顎への治療
顎以外の部分の治療
◆ 顎への治療 ◆
関節腔洗浄療法
「かんせつくうせんじょうりょうほう」と読みます。
顎関節は、関節包というものに包まれています、そしてその関節包の中は関節腔と言います。関節のためのお部屋と思っていただいてもいいでしょう。
この関節包の中は、関節液という油見たいのが存在し、この関節液が顎を滑らかに動かす潤滑剤の働きをしています。
そこに何らかの原因により関節液の循環がうまくいかず、古い関節液が老廃物として残っている場合などに適応されます。
注射針で関節包生理食塩水を入れたり出したりを数回行うことで、関節腔を洗浄する方法です。
関節鏡手術
関節鏡という手術器具を使い、顎関節をモニターを通して目で見て診断と手術を行える方法です。特に関節が癒着している場合などに効果的と言われています。
直接目で見て確認できるために診断は確実ですが、関節鏡という器具(胃カメラの小さい物と思っていいでしょう)を直接顎に入れるので少し侵害性があります。また、5~8日程度の入院が必要となります。
開放性関節手術
関節腔洗浄療法や関節鏡手術で効果がない場合は、この手術を行う場合があります。
開放性と書かれているように、顎を切り開くので大きな侵害性があり、手術後の経過が悪くても、元に戻すことは出来ないため、最後の最後の手段と考えた方がいいでしょう。
◆ それ以外の部分の治療 ◆
神経への治療、痛み止め(鎮痛剤)
急な顎の痛みや顎が痛くて寝れないような方は、痛み止めを飲むことも一つの選択肢です。
痛み止め自体は、顎関節症を治すのに直接的には何の効果もありませんが、痛みにより交感神経が過剰に働くと、治す神経である副交感神経が働かなくなるということを防げます。また、痛みにより二次的な緊張を取ることもできます。
顎周辺の緊張が顎関節症に深くかかわっているため、痛いのを力を込めながら堪えるよりも痛み止めを飲んで筋肉の緊張を和らげるのも一つの選択肢です。
顎関節症の軽い方なら緊張がなくなることで治ってしまう方もいますが、重症の方は痛み止めを飲むことで、顎関節症の根本を治せるわけではありませんので他の治療のサポート的なものと思った方が良いでしょう。
筋弛緩剤
筋弛緩剤は、その名の通り筋肉を和らげる効果があるお薬のことです。
顎関節症の方は顎の周辺の筋肉などが緊張しているため、それを和らげることを狙った治療法です。しかし、根本治療でもなく、効果もさほどない方が多いようで、サポート的に使うことが前提となる治療です。
首や背骨など、顎以外の体への整体
顎は首や頭蓋骨に影響を受けています。ムチウチなどの障害で顎関節症になる場合もあります。そのため、顎の治療だけで治らない場合は、首や頭蓋骨など、体の他に部分の治療も効果的な場合があります。
特に肩こりや首のこりが慢性的にある方は、顎にも影響していることも少なくありません。首が曲がったまま食事などで顎を使っていると、顎もゆがみ顎関節症になるということもあります。